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      「 残酷な場所、それは (憧憬のスタジアム) 」 (2005年 3月29日)

    スタジアムを見たことがあるか。
    君はスタジアムを見たことがあるか。
    そこは、才能のみが美しい場所。
    強い意志のみが正しい場所。
    "努力"など所詮は、才能と意志に奉仕するものでしかないと思い知る場所。

    たとえば、
    狭い一、二塁間を突破する、右狙いの打球。
    打者を威圧する投手の腕は、広がる鷲の翼。
    あるいは、
    牙で噛み裂くように進むドリブル。
    殺意を込めて射ち放たれるシュート。そう、
    シュート(shoot)とは「弓を射る」の意。

    才能と意志無き者はここを去れ。
    「全ては私のものだ!」
    そう宣言できない者には侮蔑の視線を与えよ。
    スタジアム、それは残酷な場所、才能と意志のみが輝く栄光の場所。
    薄弱さや後ろめたさなど、あってはならない場所。

    醜い勝利よりも美しい失敗をこそ取れ。
    いつでも恐れずに美しさと強さのみを求めたまえ。
    そのような視線を持つ者だけが、スタジアムを
    真実のスタジアムへと変えるだろう。
    才能の美しさと
    強い意志の正しさとをプレイヤーに教えることができるだろう。

    ああ、いつの日にか、真実のスタジアムがこの国に現われんことを。
    現われんことを、切に望む。
    残酷と渇望の視線が渦巻き、野蛮と高貴が隣り合う"その場所"を!
    

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