「 猫川柳 りたーん! 」 (8月10日)

     「 朝日射す 居間に散らばる蟲(ムシ)の脚(あし) 」

    「ぎゃ〜〜〜!」
    上記のごとき光景を目にして、いちいちこのような叫び声を上げてしまう人は、思うに
   ネコの飼い主には向かない方である。
    ネコは肉食獣だ。人に飼われて久しいイエネコであってもなお、野生のトラやライオン
   と変わらない"狩り"への衝動を持っている。丸こい頭に光る二つの目、しなやかな胴体、
   ぷにぷにの肉球、出し入れ自在の爪…ネコが備える独特の魅力ある特徴も、その全ては
   狩りをするためのデザインである。
    だからネコが最も素晴らしい生き物に見える瞬間は、狩りをしている時に間違いない。
    わが家では、ゴキ○リが出ると急いでネコを呼ぶ。カササ…と素早く動き回る虫を見つ
   けたとたん、ネコの全身に心地良い緊張と躍るような喜びとが充満する。「獲物だ!」
   ネコのときめきが伝わってくるような気がするほどに、鮮やかに。
    ただ残念なことに、虫ではさすがに獲物としてはいまいち小物すぎてネコの喜びはあまり
   長続きしない。すぐに弱ったり死んだりで動かなくなってしまい、
    「つまんない〜」
    とばかり、前足でつついたりしている。で、最後には食べる(たまにほったらかしもあり)。
    でも、硬いキチン質でできた虫の脚などは残してしまうので、結局人間が片付けることに。
    「責任取れよ〜」とブツクサつぶやきつつ。

     「 食卓に 獲物持ちこみ 得意顔 」

    「いただきま〜す!」
    家族みんなで夜の食卓を囲む、楽しいひと時。お皿のご馳走を口にした瞬間に聞こえた、
   独特の啼(な)き声。
    「ぐるぐるにゃ〜ん、ぐるぐるにゃ〜ん」
    「あー、来ちゃダメ〜〜!」
    しかし遅し、さっさと戸をあけて入ってきてしまったネコが咥(くわ)えているのは、
   ウソのような特大サイズのゴキ○リ…(しかもまだ生きてるし)。
    もちろん人間サイドは大恐慌、上を下への大騒ぎだ。
    「なんで食事時にこんなモノ見なきゃいかんのだ〜」
    ところが、当のネコは飼い主たちの真ン前に獲物を置いて、
    「どう?遠慮しないでね」
    ピクピク動く虫をこちらにすすめるように、首を傾げて見上げている。
    そう、実はこの行動、母ネコが仔ネコに獲物を持ってくる行動に近いのだそうな。
    狩りのド下手な我々人間のために、「これ食べてね、狩りの練習にもなるよ」という
   意味だとの説あり。
    しかしねえ、ご好意はありがたいんだけど、ヒトには迷惑千万なんです!
    そりゃあんたみたいに狩りは上手くないけどさあ…だからって、狩りの練習なんてしない
   んだぞ。とにかく食事中にはもう勘弁してくれ…。
    (ちなみに、ネコと一緒にイヌも飼っている家だと、ネコがイヌに獲物を持ってくること
   があるらしい。もちろんイヌは喜んで食べ、ネコも満足。平和)

     「 ペットなら 歳してなおも 子ども役 」

    野生のネコは大人になると、「ニャオ」とは啼かない。「ニャオ」と啼くのは仔ネコ時代
   だけである。ではなぜ、イエネコは大人になっても「ニャオ」と啼くのか?
    答えは簡単、「彼らがいつまでも子どもだから」である。
    動物が家畜化されると、野性の状態に比べて体つきや気質に著しい変化が生ずる。
    頭が小さくなる、アゴも小さく短くなる、爪や牙も短くなる…など、全体が丸こい感じに。
   そして気質の方も、甘えん坊で遊び好きになる。これらは全て「子ども化」だ。
    家畜化というのは、動物にとっては「人間の子どもになる」ことなのである。
    だから、家で飼っているペットを
    「ウチのコはねえ…」
   と称するのは、実は正しい(言う人によっては気持ち悪い場合もあるけど…)。
    可愛がられてすごすペットは歳を取って毛に白いものが混じるようになってもなお、人を
   見れば「ニャオ〜」と啼いたり鼻を鳴らしたりする。彼らは死ぬまで子どもとして振る舞う。
   なにより、人がそれを許す。
    ところがその一方で、貧しい国の子ども達が「子ども」でいられる期間はごく短い。彼らは
   十かそこらで働きに出て、大人並みの労働を期待される(しかし給料は"子ども並み")。私たちが
   享受する安い商品の中の何割かは、そのようにして作られているとマスコミ記事で目にした。
    途上国の子どもに生まれるよりも、先進国のペットに生まれた方が幸せなのかしらん?
    う〜ん…複雑。

    緊急告知:「 猫川柳 大募集! 」
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         と入れてください。
          締め切りはありませんが、ある程度集まりましたら「ひとこと」欄にて
         掲載いたします。
          どうぞ、奮ってのご応募をお待ちしております!

          (と言いつつ、ご応募あるかなあ…と不安だ。ドキドキ…)



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