「異世界FTキャラを質問攻め(50項目)」 (6月18日)

    ※この「質問集」は、オンライン小説紹介サイト『Girlrsh Frolic』さんのドキュメント、
     「異世界FTキャラを質問攻めだっ!」にて配布されているものです。



    小さな部屋にポツンと置かれた椅子。そこに座し、冷ややかな目で「こちら」を見つめる少女。
   彼女がこのたびの回答者、『―"力"の扉―』読み物屋黒猫館のヒロインである……。
    質問者(私)は、様子をうかがいながら恐る恐る問いかけを開始する。

    Question (赤字の質問には第3〜7話の"ネタバレ"あります、未だお読みでない方はご注意ください)

    1 まず、お名前をどーぞ。正式名、本名などあればそちらも。

    「"マヤ"と申します。名前だけで姓や称号などは持ってはおりません」

    2 あなたの性別・髪や瞳の色・体格・民(種)族など(あれば)身体的特徴を教えてください。

    「性別は"女"、髪は"栗色"、瞳は"とび色"、体格は細身で背丈は高くも低くもないと思います。
     種族は"人間"、でも何人なのかは私自身にもわかりません」

    ――さしつかえなければ、お歳についても教えてください(質問者)

    「少し前に、17歳になりました」

    3 あなたの故郷について語ってください。

    「東方の大きな商業都市の中にある……"街"が生まれ故郷です。
     ぐるりを塀で囲まれた、夜中明るいきらびやかな灯が絶えない場所です。今も変わらないはず」

    4 あなたが今いる国(都市・土地)について教えてください。

    「今は、西の王都"ユージン"を望みながら山岳地帯に入ろうとして進んでいます。
     "山岳"といっても雪を頂くほどの高山ではありません、緑深い静かな国境(くにざかい)です」

    5 あなたの職業(地位・称号)は?

    「カード術師、"セプター"です。でも非公認の立場です。
     "セプター"とは、特別な"力"を呼び出せる"カード"を使うことのできる人のこと。私は現在
    カードの術と魔術の両方に長けたある先生に付き従い、旅をしながら術を磨いている見習いセプターです」

    6 あなたの家族について教えてください。

    「独りです。母がおりましたが、私が12の時に亡くなりました」

    ――お父さんは?(質問者)

    「父はおりません」

    ――"おりません"て……そんな。名前やお顔をご存じないということですか?(質問者)

    「そうです。名目上の父として、母が私を産むことを許してくださった方ならおられますが。でも母の話
    では、その方は私の父ではないとのことでした。
     母は知っているのでしょうか……いえ、彼女もきっと本当のことはわからないのだと思います。
     ただ……父か兄のようにいつも親身になって可愛がってくださった方は、故郷に健在です」

    7 あなたが今身につけている服装について教えてください。あれば武器防具アクセサリなども。

    「男の子の格好をしています。
     上はグレーのシャツと濃いカーキの短い上着(立ち襟)、下は皮のズボン。こうした服は、
    だいたい市場の古着屋で求めています。
     アクセサリは何も、首すじを隠すための赤いスカーフぐらい。これで、ほとんどの方にはちゃんと
    "男の子"と見えているようです」

    ――あの、不躾(ぶしつけ)ですがその……"お胸"はどうなさってらっしゃるので?(質問者)

    (回答者、不愉快そうに眉をしかめて)
    「布を固めに巻きつけてるんです……!」

    ――す、すみません(恐縮)。でもその赤のスカーフはよくお似合いですよ(質問者)。

    8 あなたの信仰(宗教・伝説など含む)について教えてください。

    「信仰はあります、それは人を"お救いにならない"神様です。
     決して救ってはくださらない、でも全てを"見て"くださっておられる御方。
     私たちはその方を、"地の底の母神さま"と呼びならわしております」

    9 上司・主君などはいますか。どんなひとですか。

    「上司とか主君とか……そういう間柄の人はいません。
     カードと魔術の技を教えてくださる先生に付いているだけです」

    ――その"先生"というのはどんな方なんですか?(質問者)

    「私のようなカード術師です。魔術についてもひととおりの事はご存知で、呪文もお使いになります。
    見たところは三十代半ばぐらい、バサバサの黒い髪と無精ヒゲの男性で、ケンカの好きそうな荒々しい
    雰囲気の方です。
     一番わかりやすい特徴としては……左の眼に、金赤の色をした"竜の眼"をお持ちです。その眼のおかげ
    で魔力も体力も普通の人よりずうっと高くて、ご本人もご自分の実力には相当の自信がおありのようです」

    ――その他にも、あなたの"先生"には何か特別な使命ががあるとうかがってますが?(質問者)

    (回答者、ジロリとこちらを見て)
    「そんなこと、どなたから聞かれたのですか?
     仕方ありませんね……私の"先生"は、本当は宇宙のさまざまな世界を渡り歩き、カードの戦いを制した
    "覇者"と戦ってその力を試す“次元の漂流者"です。
     見た目より遥かに長い時間を生きてこられた方です、ご自分では"亜神"だとおっしゃってました。
    とはいえ、どうしたってむさ苦しい中年男のほかには見えないお姿をされてますがね」

    10 恋人(夫・妻)はいますか。どんなひとですか。

    「友だちじゃなくて人を"好きになる"気持ちがどういうものなのかは……まだよくわかりません、正直。
     でも、恋をするとどうなるのかは知ってます。
     "あれ"は、人を根こそぎ変えてしまいます、全てを失わせるものです。
     私には自分の目的がありますから……ですから、恋なんてしません。必要ありません」

    11 特殊技能などあれば教えてください。

    「先にもご説明申し上げた、"セプター"の力があります」

    12 体を動かすのは得意ですか。動作は速いほうですか。力は強いですか。

    「好きです……踊ることが、特に」

    ――もしかして、お上手でいらっしゃるのでは?(質問者)

    (回答者、ほほを赤くしてしばらくためらった後、小さな声で)
    「"巧みだ"と、"街"にいた頃にはよく褒められました」

    13 書物は読めますか。読むのは好きですか。

    「好きです。
     古い神話や歌、吟遊詩人が弾き語りしてくれる物語集はそらんじるほど何べんも読みました。
     言葉の中にいる時だけは自由を味わえましたから」

    14 喋るのは好きですか。母国語以外に話せる言葉はありますか。

    「気の合う方とおしゃべりするのは好きです。
     外国語は、主な数ヶ国語で日常の会話をこなせるぐらいです」

    15 行ってみたい所はありますか。それはどんなところですか。

    「どんな所にでも、行けるだけ行きたい!
     まだ"島"には渡ったことがないので、いつかきれいな海に浮かぶ島に行けたらいいなと」

    16 好きな食べ物は何ですか。それはどんなものですか。

    (回答者また顔を赤らめて)
    「甘いものが好きです。
     先生に、"甘いものの屋台に並ぶ男がいるか"と呆れられたことがあります」

    17 嫌いな食べ物は何ですか。それはどんなものですか。

    「好き嫌いを言っていたら旅なんてできません」

    18 朝起きてまず最初にする事は?

    「水を汲んできて沸かし、先生のためにお茶を淹れます。
     それから朝食の用意をします」

    19 夜寝る前に必ずする事は?

    「先生に"おやすみなさい"と挨拶をします」

    20 苦手な人はいますか。どんなひとですか。

    (回答者、唇をへの字に曲げ非常に嫌そうな感じで)
    「女性を……特有のイヤな目つきで見る方はとても苦手です」

    21 尊敬する人はいますか。どんなひとですか。

    「ひとり、おります。
     "永遠の処女"ライラ・ゼフィリース、本名は"ダナ"。かつて師事した人で、私の実の母です」

    22 死んでもやりたくない事はありますか。それはどんなことですか。

    「口にしたくもありません」
    (回答者、極めて硬い態度)

    23 もし、ひとつだけ願いがかなうとしたら、何を願いますか。

    「願い、ですか。
     せっかくですが、私の"願い"は自分で叶えなければならないもののような気がします」

    24 もし、あなたに子どもが出来たら、どんな子どもにしたいですか。

    「子ども……考えたこともありません。
     私が子どもを生むなんて、許されないことだと思いますから」

    25 どのように死にたいと思いますか。

    「きっと独りで、黙って死んでゆくと」

    26 あなたの野望は。

    「ここでは言いたくありません」

    27 自慢話をおひとつ。

    「"オルサ"という交易の街で、ロメロという優秀な歌手さんと一緒に歌の公演を開いたことが
    あります。私は女形の役で歌い、街の皆さんから大喝采をいただきました」

    28 今までで一番恥ずかしかった事は。

    (赤面して)
    「初めてクリーチャー(飛竜)を操って空を飛んだ時に……あんまり楽しくて雲の上まで昇って
    しまって……でも、まだ降り方(降下の方法)を知らなかったんです、私。
     その時の先生の何ともいえない呆れかえったお顔が……思い出されるたびに、恥ずかしくて
    恥ずかしくてたまらなくなります」

    29 今までで一番嬉しかった事は。

    「その、ついさっきお話した"初めて空を飛んだ時"です。
     飛竜の脚が地面から浮いて、翼が強い風を捕まえて……スーッと空に上がってゆく感じ……!
    それまで私、自分がセプターでカードの力を使えることにあまり前向きになれなかったんですけど、
    本当に初めて"セプターで良かったかもしれない"と思えました」

    30 今までで一番ショックだった事は。

    「仲良くなった"ユウリイ"という女の子が、私の腕の中で消えてしまった事です……。
     彼女は回りの人に追い詰められたあげく、大きな力を使うために自分を犠牲にしてしまいました。
    私にカード術師としての経験がもっとあれば、彼女をそんな目にあわせずに済んだかも知れない……
    せめて、彼女の願いである"想いを形にする自由"を彼女に替わって守りたいと志しています。
    (回答者、しばらく黙祷)

    31 戦争をどう思いますか。

    「"街"にいた時には、戦争を起こす側の人や戦争で得をする人、戦争に踊らされる人をたくさん見ました。
     その人たちは大概"自分は他のヤツとは違う"と言ったり、口にはしなくとも顔や態度にそのように
    描いてあったりしましたが……でも皆、ごく当たり前の変わりない人間でした。

     "街"を出てからは戦争で追われた人や殺された人をたくさん見ました……その人たちもやっぱり、
    普通のどこにでもいる人間でした。

     "カードや武器がなくなれば戦争が起きなくなる"だなんて、バカバカしい考えです。
     自分が何者でもないことに耐えられない人がいる限り、戦争はなくならない――と、私は感じています」

    32 夢はありますか。それは何ですか。

    「世界を動かしている理(ことわり)を知り尽くしたい、ということです」

    33 信念はありますか。それは何ですか。

    「"明らかに、ありのままに見る"ことです」

    34 趣味はありますか。

    (回答者、小声でそっと)
    「歌うことと、踊ること」

    35 あなたの世界に魔法はありますか。魔法についてどう思いますか。

    「魔法――"力"のことですか?それならあります。
     カードか呪文を介して、私たちはそれを使うことができます。
     ……でも、私は"力"が何であるのか、私たちセプターが"力"を使って何をしたらいいのかを
    知りたい。近頃は、自分の想いをカードを使うことで何かしら形にできるのじゃないかなって、
    少しずつですけど手掛かりをつかめてるような気がしてます」

    36 好きな事は何ですか。

    「旅をして、人と出会うことが好きです」

    37 嫌いなことは何ですか。

    「他の人の足を踏んづけているのに、気づかないこと。それか、踏んづけているかも知れないと
    思いもしないこと」

    38 大事なものは何ですか。

    「感覚、感じる気持ち」

    39 好みのタイプは。

    「好み、というのは"好もしい人"ということですか?
     それなら……一緒にいてホッとできる方」

    ――あのう、それだけじゃなくて、あなたが女としてドキッとする男の人のタイプを(質問者)

    「よくわかりません(回答者、硬い表情)。
     もしいるとしたらそれは……私から何かを奪ってゆける人かも……想像できませんけど」

    40 異性をオトすコツなどあればご教示ください。

    「"謎"であれ。
     決して全てを見せることなく、常に計りがたい部分を残しておくべし――以前に、そう教わりました」

    41 異性遍歴などは。

    「私自身の意志で男の方とお付き合いしたことはありません」

    42 これだけは許せないっということはありますか。

    「一番許されないのは……多分、私の"行い"でしょう」

    43 死ぬまでにやっておきたい事はありますか。

    「世界を、世界のありのままの全てを見たい」

    44 あなたの世界に竜はいますか。妖精は? それは、どんなものですか。

    「竜も妖精も、"カード"の力で現される"クリーチャー"としてならよく知っています。
    でも本物は……いるともいないとも噂でしか聞いたことがなくて、私にはわかりません。
     先生のお話では、今では本物の魔獣や魔物は、人間の棲む世界とは違う"別の世界"で彼らの
    四体の"王"に統治されながら棲み暮らしているそうです」

    45 あなたの世界に魔物はいますか。それは、どんなものですか。

    「先の"魔獣"と同じく、カードから現れるクリーチャーとしてならば見ることができます」

    46 雨の日は嫌いですか。その理由は。

    「"嫌い"というよりも……さみしい気持ちになります。
     旅の途中で出会った"リオ"という小さな男の子が……雨の日に亡くなりましたので」

    47 忘れられない風景はありますか。

    「まだ"街"にいた頃、お日さまが昇る少し前、ようやく辺りが静かになって……ひとりで窓から
    見上げていた濃い藍色の空が遠くて。
     ここから出られないままにずっと過ごすしかないのだろうかと、ただ見上げながら風になぶられて
    いました……あの頃の空の広さと遠さを忘れることができません。

     その時の心持ちに比べれば、飢えても寒くても自分で選んだ今の生活のほうが何倍もましです」

    48 戻りたい場所はありますか。

    「戻りたい場所はありません、私は進むだけですから。

     でも、もう会えない人たちと楽しく過ごした時間だけは……時々、とてもなつかしくなります」

    49 作者にひとこと。

    「私はあなたの分身ではありません、私自身です。ですから、私の言うこともすることもあなたは
    黙って追っていてくだされば結構、それがあなたの役目のはずです。
     これまでのように、余計な口出しをなさらず黙って見ていてください、物語の最後まで」

    50 読者にひとこと。

    「他の世界の方々から寄せられる期待も誤解も、私の行いに影響を及ぼすことはありません。
    そういうことを気にするのは作者だけで充分でしょう。
     私たちは、私たちの世界で生きてゆくだけです。それをどうお感じになるかは、うかがい見る
    みなさんそれぞれのご自由になさってください」




    ――"50の質問"、全て終了しました。マヤさん、ご協力どうもありがとうございました(質問者)。

    「こちらこそ、どういたしまして(きわめて慇懃な礼)。

     それでは、先生がお待ちですから私はこれで失礼させていただきます」


    栗色の髪の少女はそう言って立ち上がり、サッと片手に一枚の"石版"をかざした。
    人の手のひらほどの"それ"が"カード"なのか……と目を凝らす隙もなく、石版から強い光の輝きが
   放射される。思わず目をしばたたかせる「私」、そして少女と「私」との間にいきなり、真っ暗な空間が
   大きく口をあけた。

    「さようなら!」

    少女は微笑して身を躍らせ、暗い空間の中へと飛び込んでしまった。
    「……!!」
    驚いてすぐさま駆け寄ったが、その時には"暗い口"はピタリ閉じられてしまってもう何も無い。

    狭い部屋の中には、つい先ほどまで少女が腰掛けていた椅子と「私」だけが残されていた。


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