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      「 "その人"の罪と私たちの罪 」 (2005年 4月24日)

     そんなに遠くはない昔に、私たちが住む国は戦争をした。
     "その人"の名の元に、"その人"の御為(おため)と称して戦争をした。
     そうして他の国の人をたくさん殺し、
     この国の人もまたたくさん殺された。

     戦争が終わったと皆が知ったのも、"その人"の言葉によってだった。

     戦争の時が過ぎ、戦争に荷担したとして責任を問われた人々など、ほんの一握りのみ。
     "その人"の名のもとに、"その人"の御為と殺し殺されたあまりにもたくさんの人。
     けれど"その人"はついに罪を問われることなく、
     その位を追われることなく、
     自ら位を降りることもしなかった。
     なにより、この国に住まう大勢の人がそれを望まなかった。

     "その人"の実体はとうに無いが、私たちの内には今もなお、"その人"がいる。
     そのことを認め、その罪を問わない限り私たちは世界と向き合うことが出来ない。
     「松本智津夫」は「麻原彰晃」としての罪を問われているが、
     今もなお彼を慕う彼の信者たちを、どうして私たちが嗤(わら)うことができるものか。
     その姿は、あまりにも私たちに似通っているというのに。

     幻想にすがることなく独り立つのは難しいことではあるが、
     それでも私は心がけよう。
     "その人"と私たちの罪の有り様を、いつまでも忘れずに考えつづけてゆこう。

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