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      『 カルドセプト ―"力"の扉― 』
 

       第7話 「 緋の裳裾 (前編) 」 (1)


    木立の間を縫って遠くから、管弦の響きが伝わってくる。長々と続いていた森の中で、
   その音は最初はごく小さく細かった。しかし黒い森の葉陰が次第に薄くなり、木々の間
   から晴れ上がった夕空の赤みが透いてくるにつれて、楽の音は豊かに賑やかに、人々の
   歓声をも交えて鳴り増さってくる。
    「お祭りに間にあったみたいだね、近道して森の中を来て良かった」
    片手を額にかざし、枝の向こうを望み見ながらマヤが言う。その声は明るいが、やや
   緊張気味だ。
    「なかなか大きな祭りだって話だったけど、ここまでこんだけ聞こえてくるならこりゃ
    期待できそうだなあ。マヤちゃんのお披露目には丁度いいや」
    ロメロがにこやかに少女の顔を見る、少女も緊張しながらもほほ笑んでみせる。実は
   これから向かう平原との境にある交易街で、マヤは彼と共に歌をうたう予定なのだ。
    というのも、ロメロが人前で歌っては喝采を浴びる様子を幾度も目にするうち、「私も
   歌ってみたいな…」と彼女が言い出したからである。

    ヴィッツと別れ湿地帯を離れてからも、師弟二人と歌手の三人連れはあいも変わらず
   人気(け)のない深い森や険しい谷間沿いなどを特に選んで踏破(とうは)していた。
    それはもちろん、ゼネスがマヤにカードや呪文を使う稽古をつけるためだったのだが、
   たまさかには食料調達やら情報収集(他セプターや諸侯の動きなどである)をするために
   人の集まる町や村にも立ち寄ることがある。
    そしてその際ロメロはいつでも、持ち前の美声と愛嬌とを惜しげもなく披露しては、
   彼の歌に触れる者のことごとくを魅了して止まなかったのである。
    以前には、マヤは自分の歌や踊りを人目にさらすことにためらいがあるようだった。
   だが、日々若い男の達者な芸に接し、またそれを喜ぶ人々の姿を間近かに見ることで、
   どうやら段々に考えが変わってきたものらしい。
    「ロメロはすごいね、他人を楽しませて自分も楽しんで。お金より何より、そのこと
    がとっても素敵。―私も、私もホントは歌が好きなんだ、次には一緒に歌ってみていい?」
    数日前、ついにそんなことを口にしてゼネスを驚かせた。しかしロメロの方は、もち
   ろん大歓迎である。
    「いやー、マヤちゃんと歌うのかあ。そいつは願ってもないや、演(だ)し物をよっく
    考えとかなきゃなあ」
    と喜び、先に寄った町で聞き込んでおいた"森と平原の境にある街の夏の祭り"で初の
   共演興行に打って出る運びになった。(いや、実際にはこうした事情にはうといゼネス
   をよそに、二人だけで勝手に決めてしまったのであるが)
    さてそれからのマヤは、カードと呪文の修行は一時中断して連日ロメロと歌の稽古に
   励んできた。
    ロメロは歌にはまことに妥協のない男で、ゼネスの耳には充分に美しいと聞こえる
   マヤの歌声であっても、
    「う〜ん、ちょいと音程がブレたなあ。もちっと腹に力入れてね、はい、もいっぺん」
    「息継ぎ、もう少しだけ頑張ってみてくんな。ここは聴かせどころだかんね、苦しく
    ても平気な顔できるようでなきゃ台無しだ」
    「恋歌はしみじみと、想いを込めて歌うもんだよ。歌う限りはいつでも頭ン中で恋を
    追ってるようじゃなきゃあ、ウソになっちまう。
     マヤちゃん、お前さんならできるはずだぜ。さあ、始めっからおさらいし直しだ」
    ―このように、彼には不満な点をビシビシと指摘する。言葉つきこそ優しいものの、
   注文内容の厳しさときたら術の修行時のゼネスと何ら変わるところがない。
    それでもマヤは弱音一つ吐かず、朝から晩まで飽くことなく歌い続けた。真剣に、心
   からの喜びをもって。
    ―ほんの数日のことだから、しばらく歌に専念させて―などと弟子に頼まれて最初は
   渋い顔をしたゼネスも、このような真摯な訓練ぶりを見せつけられてはさすがに文句の
   言いようもない。
    しかたがないので、この頃は黙って二人の歌に耳を傾ける日々を過ごしていた。
    だがそうしてしばらく稽古に付き合ううち、彼はある時ふと、自分の耳が「開かれる」
   感覚を得た。
    ロメロの声、マヤの声の中に各々独自の「景色」が感じられる。
    太く明るく力強いロメロの声は、南国の太陽の輝き。涼やかに澄み、かすかな哀調を
   帯びるマヤの声は、夕映えの残照ゆらめく漣(さざなみ)。―耳から入った音が引き寄せる
   鮮やかな像(イメージ)、彼はその時、二人の歌の肌にじかに触れたように感じて覚えず
   総毛立った。
    この経験以来、ゼネスは音楽を知った。彼は今や、少女の声が次第に豊かな艶(つや)を
   加えてゆくありさまを手に取るように実感することができる。
    いや、それだけではない。彼の弟子が、彼とは違う者の手に導かれ、彼には示すことの
   できない新たな可能性へと足を踏み出してゆく姿を、驚きと共に不可思議な喜ばしさをも
   感じながら見つめてさえいる。
    こんな心境は、以前の彼には想像もつかなかったことだ。己れの力を頼み、他人に対
   してはセプター能力にのみ関心を向け、自分の理解の外にあるものなど全くの無に等し
   かったのが、つい最近までのゼネスだったのだから。
    『何かが変わっている、俺の中で。…マヤのせいなのか、これは?
     俺はあいつの先に立っているつもりだったのに、いつの間にかあいつの後に付いて
    別の見知らぬ場所を歩いているようでもある…』
    森の中に響く歌の声に身を揺すぶられつつ、この頃はそんな物思いが時おり、彼の
   胸の内をよぎるのだった。


    三人が森から街道に出ると、そこはすでに祭りを楽しもうという人の行き来で賑わって
   いた。皆々ここ一番とばかり着飾り、うきうきした晴れやかな顔を上気させている。
    祭りのある街は森林地帯と乾燥地帯のちょうど狭間に位置し、今日は両方の地域から
   人が集まっているようだった。というのも、人々が身につける衣装に各々の特徴が見ら
   れたからである。
    落ち着いた色調の衣服は森林地帯の部族であり、彼らは複雑な文様を織り出した布を
   何枚もの重ね着に仕立てて着込んでいた(おそらく、それらの文様は部族ごとに一定の
   様式を持っているのだろう)。
    その一方、カラフルな色使いと身体にピッタリそう意匠の服は乾燥地帯の部族のもの
   だ。彼らは手の込んだ刺繍で晴れの衣装を飾っていた。さらに馬に乗る生活のためか、
   男も女も子どもも皆ズボンを穿(は)いている。
    黄昏(たそがれ)のうす暗い時間帯ではあるが、大抵の人は火を入れた提灯か呪文の
   光を灯した松明を持ち、淡々(あわあわ)と揺れつつ動くその明かりが、昼の陽光よりも
   かえって人の姿を神秘的に見せる。
    マヤは部族ごとの衣服や意匠の違いを見比べては楽しむように、道を歩きながらも
   ずっとキョロキョロあちらへこちらへと首を回していた。
    そうこうするうちに、街のぐるりを囲む簡単な城壁にたどりついた。門はいっぱいに
   開け放たれ、歓楽の音と光と歓声をあふれんばかりに流し出している。ごった返す人の
   波に乗るようにしながら、三人もまた門をくぐりぬけた。
    そうして目の前に現われた交易の街の大通りは、仮装した者らで沸き立っている。
    「うわあ、怪物でいっぱい!すごい!」
    マヤが思わず口にした通り、街中は奇怪な扮装に満ち満ちていた。角や尻尾、羽根に
   鶏冠(トサカ)、たてがみ、牙、爪―思いつく限りありとあらゆる生き物の形を混ぜこぜ
   に、けばけばしく色を塗りたくった"怪物"の姿。彼らがたくさんの松明に照らされながら、
   群れをつくり奇声を発してあまねく街路を練り歩いているのだ。
    もとは魔物の姿をまねることで一種の厄払(やくばら)いを願う行事だったのだろうが、
   今はむしろ日頃内側に押し込めている負の感情を目いっぱいに爆発させ、開放すること
   こそが目的と見える。
    鶏冠を振りたて尻尾を跳ね上げ、角を突き上げながら吠える怪物たち。異形と原色が
   入り乱れ、鳴り響く調子の早い曲に乗って踊り狂う。それはお世辞にも上品とは言い
   難い光景ではあるが、大地を踏んで生きる者らの力強いエネルギーの渦巻きそのものだ。
    「うひゃあ、確かにこりゃ見物だなあ。でもマヤちゃんよ、こいつら全部向こうに回して
    どうでも勝つ気でやんなきゃあダメだぜ。
     埋もれちまうなんざ、つまらねえからなあ」
    常以上に生気のみなぎる表情を浮かべてロメロが言い聞かせる。高い自信に裏付け
   られた挑戦の気概が、ひしひしと感じられる言葉だ。ゼネスはなぜか急におかしくなり
   笑い出したくなった。
    『何だ、この男にも俺と同じところがあるのか』
    彼は初めて、この調子のいい男を自分の身近な者と感じた。
    ―とはいうものの、仮装の群れがひしめく大きな通りは立錐(りっすい)の余地もない
   ほどの混みようであり、さすがに二人が立って歌えるような間隙(かんげき)とてない。
   そこでロメロが先頭に立ち、人ごみの中を縫うように進みながら適当な場所を捜して街
   の中心部に入って行くことにした。
    そうしてしばらく歩くうち、
    「…あ、ごめん」
    前を歩いていたマヤが急に立ち止まり、おかげでゼネス(しんがりを歩いていた)は突ん
   のめりそうになった。
    「何をやっている」
    危ないぞと注意しようとして見れば、彼の弟子は右横の人の群れの中に手を差し伸べる
   ようにしながら、なにやら困った顔をしている。
    いや、彼女が腕を伸べているのではなかった。何者かに服の袖口を捕らえられているのだ。
    「?」
    ゼネスは目をこらした、マヤの袖を握っているのは一人の少女だ。歳の頃は13〜4
   か、器量は十人並みだが精いっぱいの粧(よそお)いを凝らし、つかんだ袖の持ち主に
   向かって盛んに不器用な流し目を送っている。
    『またか…』
    ウンザリした気分でため息をつき、彼は眼帯を取ると少女の前に自分の素顔を突き出した。
   眉根を強く寄せて迷惑そうな顔をつくり(いや、実際問題彼としては迷惑そのものだ)、
   押し殺した低い声音で、
    「こいつはまだ修行中の身だ、放っておいてもらおうか」
    ほとんどスゴむようにして申し渡す。相手はもちろん、怯えてすぐさまマヤの腕を放す。
    「まったく、ガキのくせに色気づくとは何事だ。それにお前もお前だぞ、もっと毅然
    (きぜん)としてろ、つまらんヤツを寄せ付けるんじゃない」
    再び人の中を歩き出しながら、ゼネスは前を行く弟子についブツブツと文句をぶつけた。
    実は、男装のマヤが少女たちに(多分にカン違いされて)袖を引かれるという事態は
   そう珍しくない頻度で発生している。そのたびにいちいち注意をさせられている彼は、
   もういい加減こんな面倒には飽き飽きしているのだ。
    (そしてもちろんゼネス自身は、少年時代から今に至るまで女性に袖を取られ目配せ
   されたなどという経験は憶えがない)
    「さっきの娘はそんな悪いムシにゃ見えなかったけどなあ。そんでもやっぱダメかね、
    お師さん」
    後方の悶着に見物を決め込んでいたロメロが苦笑いした。が、
    「冗談じゃない」
    憮然として彼は調子のいい男の顔をジロリと見返す。
    けれど師に文句を言われている当の弟子は、
    「でも…たまには女の子ともお話ししたいな…」
    後ろをそっと振り返りつつ、そんなことを言う。
    「そりゃあ当然だ、お前さんみたいな年頃の娘(コ)が、お仲間どうしお喋(しゃべ)り
    も楽しまねえでオイラ達みたいな男連中とばっか過ごしてんだ、可哀そうだぜ。
     なあお師さん、たまには弟子に羽伸ばしさせてやったらどうだね」
    少女のつぶやきにロメロは大いに賛同した。だがそれも、ゼネスには単なるお節介
   としか聞こえない。
    「必要ない。術師の修行は厳しいんだ、余計なことにかまけるヒマなど無い」
    彼はもうその話題にケリをつけようと突き放したつもりだった。ところが、ロメロは
   引き下がらない。
    「う〜ん、お師さんの言い分はわかるんだけどさあ、何かこう、バランス悪くないか
    ねえ、固いトコと柔らかいトコの。両方に強くなって初めて、ホントにいい術師って
    ヤツになれるんじゃないかとオイラは思うんだけどねえ」
    しかしこれを聞いてゼネスは「カチン」ときた。若い男が暗に、「あんたは固いトコ
   ばっかしだ」と言っているように感じ取ったのだ。それはつまり、彼が術師として未だ
   完成にほど遠いという指摘でもある。
    「そう言う貴様こそ"固いところ"など微塵も無いだろうが!」
    ―と、ノド元まで出かかってハタと気づいた。
    『お前はこの男に勝てるのか?こいつの柔軟さと強さの上を行けるという自信が確か
    にあるのか?』
    問い掛けてくる声がある。どんなごまかしも効かない、それは内心の声だ。あのネズミ
   の群れに打ち勝ったのも、結局はこの男の考えた策だったではないか―そう、思い出す。
    苦い水を飲みくだすような気分で、彼は言おうとしていたセリフを飲み込んだ。
    ロメロに批判されて不快になるのは、それが痛い部分を突いているからだ。昔の彼
   ならばさぞかし「カードも使わないヤツに何がわかる!」といきり立ったところだろう。
   だが、今は違う。自分で自分が見える。
    マヤに出遭ったことで自身の内面に目を向けるようになった。ロメロと道連れになった
   ことで柔軟な精神の強さを思い知った。そのあげくに見えてきたゼネスという男の像は
   と言えば、視野狭く常に硬直した、そのくせプライドばかりが高いという滑稽な人物だ。
    心底情けない―つくづくと、そう思う。
    何か言いかけて押し黙った彼を前に、ロメロがふと微笑した。
    「いや、まあ、オイラのは素人考えだからさ、あんま気にしねえでくれや。
     お師さんの考えに丸きり逆らおうってワケじゃない、ただ、世間の風ってヤツにも
    時々は当たっといたほうが、人間の幅が広がるってもんじゃないかってね。そんな風に
    思っただけでさ」
    声にいたわりの響きがある。相手が自己嫌悪におちいっている事を察しているのだ。
   ―そう気づき、ゼネスはますます恥ずかしくなった。
    「…お前の言うことには一理ある、次に話し相手になれそうなヤツが出てきた時には
    …俺も考えることにしよう」
    やっとの思いでそれだけ告げたものの、内心の反省とは裏腹にあいも変わらず尊大な
   物言いしかできない我が身の至らなさが、痛いように身に滲(し)みる。
    「それホント?嬉しい、ありがとうゼネス!」
    華やいだマヤの声が聞こえたが、彼の目線は地上に近いあたりをさまよっていたので、
   弟子の喜びの表情を確かめることは出来なかった。

    その後も三人は人波をかき分けながら進み、やがて大通りがいくつか集結したような
   広い場所に出た。ここも他所と同じような人出に埋められているが、雑然とはしていない。
   人の頭があちこちで円形に固まって垣根を作り、その中から時おり歓声が沸く。爪先立ち
   してうかがうと、各々の垣根の内側では芸人たちが稼ぎの真っ最中だ。
    鮮やかな手さばきでイヌをネコに変え、さらにネズミへと変えてみせる奇術師。一本
   のロープの上で巧みにバランスを保ちつつ、数本の短剣を宙に投げ上げては次々に受け
   止めてみせる軽業師。その他にも、イヌやウマなどの動物に芸をさせる者らが大向こう
   をうならせている。広場を彩る無数の灯の明かりが、暮れなずむ夜の中で彼らの姿を
   この世の者ならぬ謎めいた印象に縁(ふち)取る。
    中には、黒い幕をめぐらせドラゴンや鱗のある女のおどろおどろしい絵を掲げて客を
   呼び込む怪しげな見世物小屋までがあった。まさに盛りだくさんの"芸の見本市"だ。
    ロメロは人垣をいくつかやり過ごし、やがて広場の中ほどまで進んでから立ち止まった。
   そしてマヤに目配せする。
    『始めるな』
    この優れた歌手に、初めての場所でも端っこで遠慮しながら歌うなどという消極性は
   無縁だ。しかしマヤの方はこの大賑わいの中、ここ数日の特訓の成果をどれだけ出せる
   だろうか。ゼネスもさすがに弟子の"出来具合"が気になり、次第に心中がザワザワと
   騒ぎ始める。ところが、
    「じゃあ私、歌の用意するから、これちょっとお願いね」
    当の彼女は師の手に肩掛けカバンを押し付け、小さな包み一つだけ抱えて人波の中に
   さっさと消えてしまった。
    「おい、何処へ…」
    何しに行くのかと確かめるスキもない。途方にくれてロメロの顔を見るが、若い男は
   パチリと片目をつぶってよこしただけだ。
    そうして歌手はスッと背を伸ばし、いつものように客引きの歌を歌い始めた。

     さあさ皆さん寄っとくれ
     俺らの歌を聴いとくれ…

    豊かな、輝かしい"魔法の声"が湧き出だす。人々の動きがひたと止まった。瞬時息を
   飲む静けさ、次いでギュウと音するような緊張がやってくる。大勢の視線と関心とが一気
   に、ただ一点に引き絞られた。大小いくつもの人垣が崩れ、速やかにひとつの大きな円へ
   と移ってゆく。全てを支配したこの場の王、歌手・ロメロを中心として。
    気がつけば、つい先刻まで妍(けん)を競っていた他の芸人たちまでが人垣の中に居て
   彼を見つめている。
    『今日はまた一段とすごいな…』
    今はかなり歌を"聞く"ことのできるようになったゼネスには、ロメロの精神の高揚
   が自分の事のように感じられて、思わず知らず身震いした。
    歌手はしばらくはじっとして佇(たたず)み、自分の周囲にできた大きな人垣の円が
   落ち着くまで待っていた。これまたいつものペースでゆったりと、充分に聴衆をじらせ
   ているのだ。
    そして頃合いを見計らい、サッと両腕を広げた。同時に、朗々と歌う声が大気を震わ
   せて辺り一帯に鳴り渡る。
    そして一場の夢の時間が始まりを告げた。

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